シクロチャンネル-スタッフブログ- CYCLOCHANNEL Staff Blog

シクロチャンネル CYCLOCHANNEL

2011年03月のアーカイブ

2011年03月10日

明日開幕 パラサイクリング世界選手権

みなさんこんにちは、スタッフのコイタです。
ブログ更新は新年あけましておめでとうございます状態ですが、気長によろしくお願いします。さて、シクロチャンネルPLUSでもお伝えしましたが、障害者自転車競技・パラサイクリングのトラック世界選手権がイタリアで間もなく開幕します。近年、驚異的なスピードで高まっている、パラサイクリングの競技レベル。世界をリードしているのはやはりトラック競技大国イギリス勢です。男子では、1kmTT1分5秒台の記録を持つジョディ・カンディ選手、女子では先月イギリスのマンチェスターで開かれたエリートのUCIトラックワールドカップ、女子チームパシュート優勝メンバー(!)、サラ・ストーリー選手などが中でも際立った存在でしょうか。ストーリー選手は「オリンピックとパラリンピック」両方に出場することが究極の目標だと以前から語っています。厳しいトレーニングを積み、自身の限界に挑んで行く彼らの姿は正真正銘のアスリート。今回もこのイギリス勢を筆頭に、どんな記録がたたき出されるのか。世界のパラサイクリストたちに注目が集まります。
ここでは、そんな世界に挑む日本の選手たちの中から、前回の世界選手権大会で優勝を飾った藤田征樹選手と、タンデム大城竜之選手・伊藤保文選手ペアのことを少し詳しく紹介します。写真が日本チームです。後列左から権丈チーム監督、藤田征樹選手、
阿部学宏選手、石井雅史選手、鬼原メカニック、伊藤保文選手(パイロット)、大城竜之選手、班目コーチ、前列 日本障害者自転車協会・栗原理事。
0307_03.jpg fujita02.jpg 藤田征樹選手(写真・2枚目)は総合建設機械メーカー日立建機に勤務する26歳。1kmTTを得意種目としています。両足の膝下に義足をつけて競技を行う藤田選手は、前回2009年の世界選手権で、突然起こった脚の痛みに苦しみながらも、それを乗り越え世界一を勝ち獲った、強い精神力の持ち主です。その後、パラサイクリングでは競技クラスの再編があり、新クラスでは藤田選手の対戦相手の顔ぶれはかなり変わりました。なかには、1kmTTで1分10秒を切るタイムを持つ選手もいると言います。藤田選手の自己ベスト記録は1分15秒台。厳しい戦いを強いられることは必至のようです。「今回しっかり自己ベストを出して、世界での、今の自分の位置を知る事が大事。それからあと1年5ヶ月、ロンドンへの対策をしっかりして行けば良い」とは班目コーチ。これまで幾多の困難を越えて結果を残してきた藤田選手の精神力、身体能力を知っているからこその言葉に藤田選手も力強く頷いていました。大きな目標、ロンドンパラリンピックでのメダル獲得へ、険しい戦いがまさに、今回の世界選手権から新たなスタートを切るのです。
続いてはタンデムペア。
tandem.jpgパラサイクリングのトラック競技は、タイムトライアル種目が主体ですが、二人乗りのタンデムで行う視覚障害クラスには、スプリント種目があります。
タンデム1kmTTの世界記録は1分を切ろうかという所まで来ており、スプリントも、トラック競技の花形にふさわしい、駆け引きと、力勝負が繰り広げられます。日本からこのクラスに出場するのが、アテネ、北京とパラリンピック2大会出場の大城竜之選手(39歳・写真後)とパイロットという先導役を務める伊藤保文選手(38歳・競輪選手)です。一昨年から練習に取り組んできた大城・伊藤ペアでの世界選手権出場は初めて、さらにタンデムスプリント、つまりタイムトライアルではない対戦競技にも初めて挑みます。大城竜之選手は、今年1月に結婚という人生の大きな節目を迎えたばかり。「今までは自分のために走るという感じだったが、今は支えてくれる妻のためにも」と、新たな原動力を得て気力も充実した様子です。そして、プロ競輪選手のパイロット伊藤保文選手。S級1班という競輪界トップの競技生活とタンデムパイロットの両立は、容易いはずはありません。今回も3月7日のイタリア出発前日まで競輪のG1戦(3月1〜6日・G1日本選手権)を走っていました。伊藤選手は「(競走を終えたばかりの)今の疲れより、先月のパラ強化合宿の方が、未経験の疲れが残ってるかもしれない。緊張ていうたって、今更ね、ないけど(笑)」。初めてづくし、今出来ることをやるしかないと、率直に語っていました。伊藤選手の存在が、大きな戦力であることは言うまでもないかも知れませんが、精神面でも、プロとして日々勝負の世界に生きる伊藤選手の競技観や意識が、何かチーム全体に影響を与えて行くことになるのか、見つめて行きたいところです。
大会は11日から13日まで。シクロチャンネルPLUSでも競技結果を紹介する予定です。

▲このページの上へ